「ポーの一族」の続編が出ていたが…

 子供のころ姉の持っていた萩尾望都の「ポーの一族」を読んだ。
派手なコマ割りが動きと迫力のある絵とからみあって読者を圧倒させる少年漫画と違って、繊細なラインで描かれたやさしい絵と洗練された無駄のないセリフ回しでテンポよく進み、余韻のあるラストにつながるストーリーに感激した。
永遠の時を生きるヴァンパネラにひょっこりなってしまった少年の葛藤と壮大なストーリー。ミステリアスな話の進み方もお気に入りだった。

 ひょんなことで続編が出ているのに気づいたのが先週。数十年過ぎてからの続編もいろいろ出ているようだ。昔のファンを当て込んで、あわよくば新規ファンも取り込もうとしてるのだろうが前作を超えたものは一つもない。知らないところではあるのかもしれないが、ほとんどは話題にならずにひっそりと終わっている。
絵が下手になった作者も多い。加齢によるものか、アシスタントが書いているのか、アシスタントがいなくなって本人が書いているからなのか、理由は様々だが昔の線がなくなっている。
私が知る限りで望月三起也だけが昔の絵や世界観を崩さずに続編を書いてはいたが惜しいことに去年亡くなってしまった。

 表紙と扉絵はこんなものかだが、本編に入ってとてつもない違和感が。作者もコメントしてるがエドガーもアランもすっかり顔が変わった、今風に言えば劣化したというのか。流れるような優しい線は影を潜め、ゴツゴツして直線的なラインで描かれたエドガーは別物。妙に肩肘張ったポーズとか広い肩幅とか棒のようにまっすぐな腕とか、福本伸行の影響を受けたか、青木雄二が降臨したのかと思うほど。
通行人レベルかと思った女の子がまさかのヒロイン。エドガーはいつからガッチリ体型(あるいはぽちゃ?)が好きになったのだろう。
実は作者もヴァンパイアで40年の眠りから覚めて久しぶりに漫画書いてるのだろうか。ラスト近くでようやく昔の雰囲気をチラリと感じただけだ。
眠れない一族をモチーフにした他のヴァンパイヤ一族と絡ませながらストーリーは進む。新しい能力を使っても大事な人をまたまた階段から落としちゃうエドガー。暴走したポーの仲間、あらたに仲間に加わった娘、ノルマンディー上陸からの戦時中を背景にどうつながっていくのか……ってところだが、まあ続きは読まなくてもいいかな。絵柄は譲ったとしても独特のコマ割りによる流れの良さがなくなって読みづらい。普通の漫画になっていてテンポが悪く読んでいて退屈。洗練されたセリフのやりとりや流れるように人生を描く描写とかすっかり消えてしまったように感じる。
しかしレビューは高評価、みなさん満足されてるようで何よりです。まあ人それぞれです。

 荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」もヴァンパイヤと主人公ジョースター一族の何世代にもわたる闘いで少年漫画の域を超えて楽しめる作品でした。途中から編集部の意向を汲んでジャンプお得意のバトル物へと変わっていきましたが、それで人気が出て作者も編集も読者も満足してるようです。それはいいけど、もういい加減終わりにしたらどうなのかと。もっと違う作品も描けると思うだけに残念。
少女漫画だと「ガラスの仮面」も続いているようでなによりです。
po001