スイレンとハス
地元の新聞の「花紀行」のコーナーが好きだ。県内なので記事の出た次の日か週末には出かけてしまう。
真っすぐに伸びた蓮の真っ白い花の写真に魅せられて塙町の上渋井ハス園へと出かける。スマホのナビ通りに走ると間違ってるんじゃないかと思うくらいどんどん狭い道へとひきづりこまれていく。小さな看板を見つけてほっとして着いた先は山に囲まれた水田。そこから絶景が広がっている。
近くの公園で見るのとは違ってすうっと高く伸びている。花の形も大きく鮮やかである、と思ったら睡蓮と蓮を一緒くたにしてただけだった。
休耕水田を利用して地元の有志が作り上げたハス園らしい。
地元の有志の方だろうか、案内の人がしきりに匂いを嗅げと言ってくる。言われたとおりに嗅いでみると「高貴なにおいでしょう」って。高貴かどうか、芥川龍之介の「池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂いが、絶え間なくあたりへ溢れて居ります」ってところなのか。
さらに落ちていた花びらを一枚とって目の前にかざしてくれる。「レンゲですよ。似てるでしょう、名前の由来はここから来たんです」そう言って蓮の葉の上にそっと乗せた。
蓮の華→蓮華→レンゲ だったのか。
今年で8年目になるというハス池。今年は寒かったせいで開花が遅れて例年よりも背丈は低いらしい。それでも100アールの土地に目いっぱいあふれるように咲いている蓮は見ごたえがある。塙町といえばダリアの町なのだが、それよりもハス池の印象が強くなった。
「蜘蛛の糸」のある天上界はこんな光景なのだろうか。なるほどこれではお釈迦さまもぶらぶらお歩きになりたくなるはずだ。
ぶらぶら歩くと奥のほうにも黄色い花ーアサザというらしいがー群落が見える。
さらにその奥には、よく見知った睡蓮が島になって咲いている。
シオカラトンボの姿も久しぶりに見れてうれしかった。
ヤフオクで3000円で買って玄関に飾ってある複製画が睡蓮。
お釈迦様がぶらぶら歩いてカンダタと戯れるのが蓮池だ。
この年になってようやく知ったのが情けない。
↓これが町内の公園のスイレン
水面に咲きます