電球型蛍光灯とLED電球への変遷

  電球型蛍光灯が好きで好きでしょうがなかった。
隣町で店をやってた頃は店内照明に白熱電球を30個ほど使っていた。電気料金がえらいことだったのと、照明のスイッチを入れた途端にパーン!と音がして電球が切れるのが嫌だった。
電気料金も音も心臓に悪いので、まだ当時大きめのまん丸の形しかなかった電球型蛍光灯に少しづつ入れ替えていった。電気料金が毎月減っていくの楽しみだったな。最終的に3万近かった電気料金が7千円くらいまで下がった。二酸化炭素排出量もかなり減ったと思う。
 その頃はまだ高くて一個千円半ばぐらいだったかな。それでも電気料金の差額で10個以上買える計算なので、暗くなったのを1年毎に交換していた。次々と違うメーカーやデザインに買い替えては違いを見るのが楽しみだった。両掌でかかえるくらいのボール型は徐々に痩せていき、やがてシリカ電球と変わらない形と大きさまで進化した。価格も国産でも千円前後。中国産ならワンコインで買えるくらいになっていった。
そんな電球型蛍光灯もどんどん生産中止となり、LEDへとシフトしていった。
 LEDの目を刺すような光は好きじゃない。LED化の波に押され処分価格で売り出される電球型蛍光灯を買い漁った。しかし数年経つうちに買い置きもいつしか底をつき、やむなくLED電球を導入した。最初の一個目は80w相当の一個6000円を清水の舞台から飛び降りる気で買ったものだ。それがいつしかアマゾンで100w相当が6個で2500円で買えるようになった。もちろん中国製なので1~2年でひとつやふたつは壊れてしまうのだが返金や交換は対応してくれる。しかし価格が6~7年で1/10になってしまうのは驚きである。
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自宅の廊下と階段もLED電球に替えた。居間のシーリングは数年前にアイリスオーヤマLEDに代わっている。
60wタイプなら、ひとつ300円程度のLED電球の買い置きを見ながらホクホクしていたのに、先日ダイソーに出かけたら一個100円であったのに驚いた。しょせん40ワットじゃねーか、トイレにしか使えないよ、と思ったら60ワットは150円で隣に並んでいた。ここまでやるのか中国よ。早すぎるって、買い置きはまだ数年分あるのに。
それでも買わないと損な気がして、とりあえず40Wを3つほど買ってみる。買い置きは60wと80wタイプだけだから無駄にはならない。自宅と店のトイレに付け替えてみるが当然のようにちゃんと光る。光量も安定していて電球一筋○○年の私の審査でも合格だ。100円なら耐久性に関しては多くは望むまい。
うれしいので数日後60wも買ってみると「調光機対応」で400円とられてしまった。先日も間違えて300円のバケツを買ったばかりなのに注意力が足りなすぎる。というか注意して100円や150円のを掴んだつもりなのに、うっかり気を抜いた瞬間に勝手に入れ替わっている。人生はときに不可思議なことが起こる。とくにダイソーでは度々おこる。
くやしいので翌週隣町のダイソーで100円40wと150円の60Wを電球色・昼白色をとりまぜて10個ほど買った。株式投資でいうと「ナンピン買い」だろうか。株価が下がって損こいた分、買い足して値上がりを待つわけだが一般には悪手といわれている。それでも儲かるときもあるから手を出す人もいるのだがダイソーの電球に関してはあわてて買う必要はなさそうだ。それにすでに買い置きが20個以上ある。

 もうこれで電球の進化と価格崩壊も行き着くところまで行ったようだ。新たな電球集めも終了かな、エジソンの時代から悠久の時を旅して電球の長い歴史を火の鳥のようにその変遷を眺めてきた気になって少々残念な気持ちでいると、眼の前の照明がチカチカし始めた。
目を薄めて電球の底をみるとなにやらオタマジャクシみたいのがフラフラ泳いでいる。内部のチップが幾つか抜け落ちたようだ。中国製は安いけど耐久性に欠ける。品質を上げる代わりに故障した場合は返金や交換で対応するようになっている。保証期間内であるのをサイトで確認して連絡しようとしたがすでに販売会社は無くなっていた。まあこんなことも度々ある。
そのときふと画面の隣にならんでいる見知らぬ新製品が目についた。
内部にフィラメントのようなのが数本つながっていて、オレンジ色の光を放っている。形状はエジソンが発明した頃のデザインで透明の琥珀色のガラスが郷愁を誘うといったところか。
すでに買い置きが30個近くあるのにまた買ってしまった。しかもまた中国製。
届くと夜を待って階段の照明に使ってみる。80w相当と表記してあるが琥珀色のガラスのせいか暗く感じる。特殊な形状でオレンジ色に輝く長いフィラメント部分がガラスの底の方に映って怪しげな光を映し出している。
消費電力は8wとある。構造的にはさっぱりわからないが雰囲気的には悪くない。他にも丸いデザインやクリア色のガラスやら種類はいろいろ出ている。これからも増えていくだろう。
私の電球集めはまだまだ終わりそうにない。フィラメントを眺める口元がほころんでしょうがなかった。
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