哀れんでやれ…俊作アンちゃんと銀山温泉こけし

 春から自治会の班長と共に区長の役もまわってきた。まあ1年間だけだけだからしょうがない。総区長も物静かな方なので安心していたら、その嫁が旦那を差し置いて引っ掻き回し始めた。
いわゆる「マウント取るタイプ」なのか、人の倍ほどもある身幅で肩で風きってあるいている。先日さすがにこらえきれないような出来事が合って声を荒げたりした。
 そんな時に「おしん」は中村雅俊演じる俊作あんちゃんの最後のシーンが放送された。
おしんを村まで送る前に今後の人生を思って優しく諭すシーン。


「それでも、おしんに何も悪いところが無いのに相手が横車を押すようなことがあったら、相手を責めずに哀れんでやれ」
「わけもなくおしんをいじめるやつは、きっと自分も不幸な人間に違いないんだ。心貧しくてかわいそうな人間なんだ。そう思って許してやれ」

 この言葉は婆ちゃんが亡くなるときに言ったセリフだと思ったが勘違いだったか。妙に心に残って、人生で嫌な人に合う度にこの言葉が頭に浮かんだ。
 ーー哀れんでやれーーそう、誰にも認められない可愛そうな人間なんだ。許してやろう。そう考えただけで相手より優位に立った気がして、いくばくか心が広くなれる。すべての人に対してそう思えなかったし、今でも死んでほしいと思ってる人間もいる。でも恨みつらみばかり言ってるよりは進歩的だ。人を恨むことは自分の大事な時間を嫌いな人のために使っていることなのだとなにかに書いてあった。恨んだり憎んだりするのは時間の無駄なんだなぁ、ストレスもたまるし、哀れんでやろう。

 人生で悩んでしまったり停滞したりした時期に「おしん」を思い出すことが度々あった。そのたびに慰められたり、勇気をもらったりした。
 貧乏から脱出しようと必死で働いて人生を切り開いてきたおしん。それが老齢にさしかかって自分の人生が間違っていたのではないかと旅に出て過去をさがしはじめる。今どきのドラマに慣れてると、びっくりするぐらいテンポよく話は進んでいく。しかも内容は濃い。「なつぞら」の子役もかなり良いと思ったが「おしん」の小林綾子は別格である。ひとつひとつの所作になぜか引き込まれてしまう。
見終わったあとは余韻を消したくなくってTVを消す。「なつぞら」も悪いわけではないのだが、おしんの後ではかすんでしまう。「こころ旅」は録画でみりゃあいい。
 20年ほど前に両親が銀山温泉へ泊まったときに土産に買ってきてもらった「銀山こけし」はいまもきれいなままだ。ドラマの中で震災や空襲、度重なる引っ越しを経ても無くならず、手元に残ってるから不気味な呪いのコケシだろってネットでは評判だ。なくなったはずなのに思わぬところから出てきたってのはよくある話。たいていは勘違いからくる。呪いといいうより、せめてトイストーリーのウッディみたいなものだと思って見てほしい。

 いよいよ明日から青春編?田中裕子の登場です。
子役のイメージが強すぎて最初は苦労したという田中裕子ですが、波乱万丈の人生を飽きさせずに見せてくれます。もうこれは絶対見なきゃダメ。