猫の毛玉の大手術

 やたらと長い毛をもてあましているウチの猫。日々毛玉との闘いに余念がない。
クビの周りにできた毛玉は堅く大きくなって、一部自然にはがれたのはいいけど皮膚が破れて痛々しかった。
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やっぱり切ってやらなきゃいかんとハサミで切ってやると首回りだけ細くなってちと笑う。
そんなこんなしているうちに今度は胴体全体を覆うように毛玉が岩盤のようにまとわりついてきた。
慎重にハサミで皮膚を切らないように少しずつカットしていく。最初はいやがっていた猫もなれてくると自分のために良いことだと判断できたのか、おとなしく身をまかせるようになってきた。しかし両脇腹がつるっつるになってしまった。これでは庭の植木や塀の間とかをすり抜けるのが大好きな猫には危険すぎ無防備すぎ。よって背中のほうは脇の毛が生えてくるまで待つことにした。
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 しばらくして首回りは完全復活、脇腹はポソポソと生えてきたので背中のコブの切除にかかることにする。こんどはツルッツルにならないよう、皮膚を切らないようにと3千円ちょっとの猫用バリカンを用意。厚い板のような塊を引っ張りつつバリカンを当てると少しずつ切れていく。羊やアルパカの毛刈りみたいにするする切れていくのを想像したのだが意外にのったりしか進まない。チョンチョンと毛玉に当てながら進めるが、皮膚に当たると怖い顔で猫が吠える。それでも皮膚が切れるわけではないので安心して進められる。
血管や神経に複雑に絡んだ癌細胞を取り除くスーパードクターのように私の手は神業のごとく毛玉をカットしていった。少し時間はかかったがなんとか右の背側切除に成功。

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次に最終左背側に移る。白いカスのようなものは人間ならフケみたいなものか? あるいダニの破片とか。今までの箇所と違って痛むのかちょっと触れただけで歯をむいて吠える、それでも続けると逃げ出す。そのうちバリカンの音を聞いただけで逃げるように。しかたないので一週間ほど放置してから再開。
 ふと気づいてオイルを吹いたせいで、バリカンの音は「ガー」から「シャー」と静かになり、猫はその音を聞くとちょっと頭をもたげただけでまた眠りについた。
歯を最短8mmにセットして少しずつ押し進める。今度はスイスイと切れていくではないか。「猫と旦那はこれ一本!」主婦のレビューも納得いく切れ味だ。左右に高速で動くバリカンの歯は、こまめに潤滑油を刺さなければ切れ味が鈍るようだ。ロードバイク用のチェーンオイルは相性が良いようで瞬く間にあれほど困難だった毛玉がとれていく。皮膚から10mmほどの所へバリカンを当ててなるべく毛を残すようにして進めたせいでそれほど禿げには見えない出来だった。猫がいやがってたのは切れないバリカンを無理に押し当てるからだったようだ。
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 おかげさまで猫に嫌われることなくカット終了。
最後になでなですると猫は私の指先をぺろぺろしてお礼を言ってから再び眠りにつきました。
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 今度はサマーカットに挑戦したいけどペットショップでトリミングしてもらったほうがいいかな。
きれいなお姉さんのいるペットショップを探さなきゃいけない。