セルフレジで傷テープを買う、果敢に立ち向かう俺

 「カットバン」を買いに行く。ドラッグストアが乱立してからは東北でもバンドエイドやら何やらも目にすることも多くなったのでカットバンという呼び名が古めかしく感じる。

セブンイレブンだと「救急バン」、ダイソーだと「救急‼キズテープ」のようだ。

ダイソーの「LL版」が安くてお気に入りなのだがコロナ禍で中国の生産が落ちてるせいなのか、ずっと見当たらない。まあ普通サイズもないので大都会の病院に行ったついでにダイソーでまとめ買いしようと立ち寄った。大都会ゆえに品揃えが豊富でLL版もあるかと思ったが見当たらない。MとLと大判とを買ってレジを探す。

なんとすべてのレジがセルフレジになっていた。さすがは大都会のダイソーだ。店員も客もすでに100年前からそうだったように、なんの迷いもなくサクサクと会計をこなして帰っていく。呆然と立ちすくんでいるのは俺だけだ。ベイシアかイオンで使ったことはあるが、その時は店員さんが付きっきりで教えてくれた。一人でこなせるか自信がない。

 近くにいた店員さんに声をかける「すみません、使い方がわからないんだが」

「まあ、今どき自動レジの使い方がわからない人なんているかしら? そうか、あたしとお話ししたくってレジがわからないふりしたのね。忙しい時に迷惑だわ、ああ、超絶美人に生まれてきた自分がうらめしい。でもゴメンナサイ、オッサンはパス!って、仕事だからしょうがないか、どうせ知ってるんだろうけど教えてやらなきゃ」

と思ったかどうか知らないが面倒くさそうに画面を指して「ここ!スタートを押すの」とだけ言って去ってしまった。

やれやれ、手取り足取り教えてくれるんじゃないのか、まあとりあえず挑戦だ。スタート→レジ袋いらない→スキャン→会計→支払い→お釣り まあなんとか無事に済んだようだ。帰り際さきほどの店員の姿が見えたけどなんにも気にするそぶりもなく仕事に没頭していた。

どんな艱難辛苦にも果敢に立ち向かい、その知恵と努力と経験で逆境を乗り越えていけるオジサンだと信頼されたようだ。非常にうれしい。

 

 数日後、今度は小都会のダイソーでシャモジその他3点を買う。今度は有人レジが一台とセルフレジが3台である。直前に並んでいた老人はタイミングよく有人レジへ誘導された。俺はどうなる?自信はあるがどうせなら有人が良い。

しかし無情にもすぐに空いたセルフに誘導された。後ろの人に譲ることもできたのだが、せっかく覚えたのだからやってみよう。

二度目なのでなんなくこなすことができた。この複雑な高度に電子化された現代社会を生きて行けるお墨付きをダイソーのセルフレジにもらった気がした。レシートの代わりに領収書が出てきたのは愛嬌だ。

 

 しかし、不思議なのはスキャンされたか不安になってもう一度スキャンしても一度読み取ったものは二度と読み取らない、同じものを二つ買ったときはどう判断してるのか不思議。

でもそんなことを人に聞くと「そんなことも知らないのか?何十年生きてるんだよ」と言われそうでイヤなので前々から知ってるふりして生きていく。